なぜ別種にするのか?~種分類の理屈を考える~

Why different species? Discussion on the logics of species delimitation

世話人:岡本卓(京大・理)

 

概要:

近年,日本産爬虫両生類の種の分類がたびたび変更されているが,その多くは既知種の分割や,化石等に基づく絶滅種の発見である.既知種が分割されるケースのいくつかでは,ハコネサンショウウオ類などのように各種の分布域が接触しており,別種とする重要な根拠として生殖隔離にしばしば言及される.一方,狭義のオキナワトカゲ・オオシマトカゲ・クチノシマトカゲのように,異所的な個体群を別種として分割する場合,生殖隔離ではなく遺伝的・形態的差異の程度に言及されることが多い.化石等の分類学的位置も一般に形態的差異に基づいて判断され,現生種と同種に同定されるものも,アマミヤマガメなどのように現生種に近縁な別種とされるものもある.さらに,情報不足のまま分類変更が提唱され,異なる分類体系が並存している広義のニホンスッポンのような例もある.このように,一律に「種」として扱われているものの背景には,しばしば異なった経緯がある.本企画集会では,上記のような事例に関する研究に関わった方々に話題提供していただき,種の分類に関する考え方の多様性や共通性を議論したい.

 

 

岡本卓(京大・理・動物) Taku Okamoto (Grad. Sch. Sci., Kyoto Univ.)

 「趣旨説明:「種概念」と日本産爬虫両生類の近年の分類学的研究

  Introduction: "Species concepts" and recent taxonomic changes of Japanese reptiles and amphibians」

吉川夏彦(国立科博・分子資料センター) Natsuhiko Yoshikawa (Natl. Mus. Nat. Sci, Tokyo)
 「別種にするには理由がある ―ハコネサンショウウオの場合―

  That is why they are different species ―a case of Japanese clawed salamanders―」

栗田和紀(京大・理・動物) Kazuki Kurita (Grad. Sch. Sci., Kyoto Univ.)
 「島のトカゲを例とした異所的個体群の種分類

  Species delimitation in allopatric populations, especially in the cases of island skinks」

高橋亮雄(岡山理大・理・動物) Akio Takahashi (Okayama Univ. Sci.)
 「化石や遺跡産骨格残骸を対象とした形態形質にもとづく種分類の現状と問題点

  Current status of species-level taxonomy in vertebrate paleontology and archeozoology」

鈴木 大(九大・決断科学) Dai Suzuki (IDS3, Kyushu Univ.)
 「淡水性カメ類における分類の現状. ―スッポン属を中心に―

  Current status of taxonomy of the extant freshwater turtles. ―In particular focuses on genus Pelodiscus―」

総合討論(司会:岡本 卓)